共有名義の不動産を売却するのは難しい?売却の方法を解説

公開日:2023/06/15  最終更新日:2023/04/07


不動産を売却する際に、名義が自分だけの単独なのか、夫婦もしくは親子、兄弟姉妹などで共有名義なのかによって手続き方法や注意点が異なります。共有名義にはメリットデメリットがあり、売却の際にトラブルに発展することもあります。ここでは、共有名義の意味や売却時の注意点、トラブルを防ぐためのポイントなどについて紹介します。

共有名義とはどのような状態なのか

共有名義とはどのような状態を指すためしょうか。

定義

共有名義とは、複数の人がひとつの不動産を共同所有し、出資額の割合に応じた所有持ち分で権利関係などを登記することです。実際には不動産を分割することはできないため、共有者ひとりずつに共有持ち分という権利が与えられます。

保存行為・使用

老朽化した建物の修繕や不法占拠者の追い出しなど、物件の状態を維持するための行為はそれぞれの共有者が単独でできますが、共有している不動産に居住するなど仕様の場合はほかの共有者に使用料を支払わなければなりません。

管理行為

たとえば短期の賃貸借契約やリフォーム、リノベーションなど物件を適正に改良したり管理したりする行為を行うには、共有持ち分の過半数分の同意が必要です。

処分・変更

共有している不動産を売却したり、抵当権を設定したりするためには、共有者全員の合意が必要です。

メリット

共有名義のメリットは共有者それぞれの収入を合算してローン審査を受けられるため、単独で行うよりも高額なローンを組める可能性があります。また、共有者それぞれの収入に対して住宅ローン控除が適用されるため、減税額が多くなります。売却時には譲渡所得から最高3千万円の控除を受けられます。

デメリット

共有名義の不動産はひとりで自由に売却できません。また、ほかの第三者に貸し出すことも制限されています。もし、共有者のひとりがほか界した場合には、相続の対象として持ち分が複数の相続人に受け継がれていくことで、トラブルが生じる可能性があります。

共有名義の不動産を売却するには

共有名義の不動産を売却するにはどのような選択肢があるのでしょうか。

名義人全員の了承を得る

一般的な方法として挙げられるのが、名義人全員の合意を得たうえで不動産を売却することです。一番シンプルな方法ですが、ひとりでも反対者がいると話は進みません。相続登記後などで名義人が多い場合、全員が集まって手続きを進めることが難しい場合もあります。このような場合には委任状を作成して売却を進めます。

自分の持ち分を売却

自分の持ち分だけを売却することは可能であり、ほかの名義人の許可は不要です。建物を物理的に分割することはできないため、土地だけに使える限定的な方法とされています。

名義変更

共同名義の不動産を名義人ひとりのものに統一して、単独名義にする方法です。単独名義になれば許可を得る必要がないため自由に売却できます。ただし、身内間で売買が行われる場合には、税務申告の際に妥当性を証明するための証拠を求められることもあるため、注意が必要です。また、共有のまま売却すれば得られた税制のメリットを受けられないこともあります。

必要書類

売却手続きに必要な書類には登記済みの権利書か登記識別情報、境界確認書、すべての名義人の身分証明書などがあります。

共有名義の不動産の売却はトラブルになりやすいため慎重に!

不動産売却の際にどのようなトラブルが発生してしまうのか、解説します。

勝手に売却

共有持ち分なのに不動産全体が勝手に売り出されてしまうことがあります。このような場合、どのような結果でも円満に解決することは難しいです。

ほかの権利者との関係悪化

たとえば、名義人のひとりが建物の全部を使用していた場合、ほかの名義人が使用分に対しての賃料を受け取っていないことが多くあります。使用している名義人にとっては固定資産税などの支払いのみで建物全体を使えるため、そのまま住み続けたいという判断をするかもしれませんが、ほかの名義人にとっては不動産を持ち続けるメリットがありません。これにより相互の関係性に亀裂が入る恐れがあります。

余計な費用発生

共有名義の不動産を売却する際の方向性について話し合いがもつれてしまうことで、当事者同士で解決できない場合は弁護士費用が発生します。また、使用する用途がないのに持ち分を保有し続けることで、固定資産税や都市計画税などの負担が大きくなることもあるため、要注意です。

まとめ

共有名義の不動産を、相続したり売却したりする際にもめることもあります。基本的にはすべての名義人の意思を一致する必要があるため、必ず共有者と話し合いを設け、意思を確認したうえで手続きを進めるようにしましょう。不安なことがある場合には、早い段階で税理士や弁護士などの専門家に相談するのもひとつの方法です。トラブルに発展した際も、ノウハウや知識を持った第三者に相談してトラブルを解決し、スムーズに売却できるように進めることが大切です。

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