不動産売却時に起きがちなトラブルとその対処法について解説!

公開日:2022/12/15   最終更新日:2024/04/16


不動産の売却を巡るトラブルは後を絶ちません。これから不動産を売ろうと考えている人にとって、どうしたらトラブルに巻き込まれずにスムーズに完了できるのかは大きな関心事でしょう。今回は、そんな悩みを抱えた人のためにどんなトラブルに注意すればよいのか、トラブル回避には何をすべきなのかを分かりやすく解説します。

不動産売却時に起きがちなトラブル

物件売却時によく起きるトラブルとはいったいどんなトラブルなのでしょうか?ここでは代表的なトラブルを4つご紹介します。

仲介手数料のトラブル

不動産売却に関し、もっとも多いトラブルが仲介手数料に関するものでしょう。仲介手数料は法律で上限が決められている一方、割安な手数料設定や手数料無料を売りにしている業者もあります。しかし、実際にふたを開けてみたら仲介手数料とは別に「コンサル料」などの名目で別途費用の請求が発生するようなケースが後を絶ちません。仲介業者へ依頼をする際には細かな費用の条件まで確認する必要があります。

専属専任媒介契約のトラブル

専属専任媒介契約とは売主と仲介業者の間で結ばれる媒介契約のひとつです。この契約を結ぶと売主は仲介業務のすべてをその業者に任せることになります。たとえば、買主を自分で見つけてくる行為やほかの仲介業者にも買主を探してもらうなどの行為ができなくなるのです。

仲介業者としては売主が複数の仲介業者へ依頼していると、ほかの業者で決まってしまった場合に自分たちへ手数料収入が入ってこなくなるリスクがあります。そのため、できれば自分たちだけと媒介契約を結んでほしいというのが本音でしょう。そのため、内容を詳しく説明せずに専属専任媒介契約を結び、あとになって売主とトラブルになるケースが多く見られます。

隣地との境界に関するトラブル

物件に関するトラブルとしてよくあるのが、隣地との境界に関する問題です。土地の境界というとイメージしにくいかもしれませんが、たとえば敷地の間にあるブロック塀が分かりやすい例です。物件を売るにあたって建物などをすべて壊したい場合、境界線に立っているブロック塀が自分たちのものなのか、それとも隣地所有者のものなのかが問題になってきます。

仮に隣地所有者の物であれば、それを勝手に壊すわけにはいかないでしょう。しかし、昔に建てられたブロック塀であればどちらが建てた塀なのかはっきり覚えているケースは少ないものです。そうしたときに正確な測量を行わずにあいまいな記憶のままに解体をしてしまって、あとからトラブルに発展してしまうのです。

契約不適合責任のトラブル

契約不適合責任とは、売買契約時に物件の欠陥などを伝えなかった場合などで買主が売主に対して損害賠償請求を行えるというものです。簡単にいえば、もし引き渡した物件に欠陥が見つかった場合、売主は買主に賠償金を支払う責任があるということです。

売主も知り得なかった欠陥など防ぎようがないものもありますが、もし事前に知り得ていたものであれば必ず仲介業者へ伝えておくようにしましょう。小さい欠陥だから言わなくても大丈夫とは思わずに、些細な点でも漏らさずにしっかり伝えておくことで後々のトラブルを回避できるはずです。

不動産売却時のトラブルを防ぐためには?

こうした売却時のトラブルに遭わないためにも、私たちにできることはなんなのでしょうか?

最低限の知識は身につけておく

まずは不動産売買について最低限の知識を身につけておくことでしょう。不動産に関する知識は、普段から不動産と関わりのない人にとっては難解で理解しにくいものであるのは確かです。しかし、売却は自分の大切な資産を手放すことであり、大きな金額が動く取引でもあります。そのため、当事者として最低限の知識は得ておくべきでしょう。書店で売っている入門書などを1冊読めば充分だと思ううえ、今ならネットでたくさんの情報が手に入るので、それを活用して知識を得るのもよいでしょう。

仲介業者にすべてを任せない

また買主が決まるまでの状況をしっかりフォローすることも大切です。媒介契約を結んでいれば仲介業者から定期的に内覧状況などの情報がもらえます。しかし、それに満足せず、内覧者の感想やそのほか疑問点などしっかりと業者へ確認するようにしましょう。業者側も買主側から詳細な説明を求められれば、丁寧な調査や対応をしてくれるようになるはずです。また、媒介契約の際にも契約内容をよく読み込み、買主側の認識と契約内容にズレがないかの確認も漏れなく行っていきましょう。

信頼できる仲介業者を探す

トラブル防止のために自分自身が万全の対策をしていたとしても、仲介業者がいい加減であればトラブル発生の可能性は高くなります。そのため、信頼できる業者選びもとても重要なポイントです。地元密着でその土地の事情に精通している、大手業者で実績が充分にあるなど、どのポイントに重点を置くかの考え方は人それぞれでしょう。しかし、事前に業者についてネットや口コミなどを調査し、信頼に足りる業者とのみつながりを持つように心がけましょう。

万が一、トラブルに遭ってしまった際の対処法

一方で、どんなに慎重に対応していてもトラブル発生をゼロにすることはできません。そのため、万が一トラブルが発生したときに備えて対処法についても簡単にご説明しておきます。

仲介業者に相談する

まずは仲介業者に相談しましょう。もしトラブルの原因が仲介業者側にあり、担当者だけでは解決できないと感じたら営業責任者と話をしてください。業者内で解決できるトラブルであればすぐに対応してくれるはずです。

一方で、担当者やその上司と話ができない内容、または話し合ったけれど解決の糸口が見つからなかった場合は仲介業者の相談窓口へ相談しましょう。小規模の業者では窓口を持っていないところもありますが、大手業者や複数店舗を展開しているような業者であれば設置しているところがほとんどです。相談窓口に持ち込まれた案件は、サービス向上のために基本的には慎重に取り扱われるため、しっかりとした対応が期待できます。

行政に相談する

業者が相手ではらちが明かないときは行政の窓口へ相談しましょう。不動産業者を管轄する国土交通省は全国の自治体に地方整備局を置いており、ここが不動産関係のトラブルに対応してくれます。また、都道府県単位でも行政に不動産トラブルの相談窓口が設置されており、こちらに相談するのもよい方法です。

弁護士などの専門家を頼る

トラブルが大きくなり、より専門的な助言が必要だと感じたら弁護士などの士業を頼るのがベストです。個人間のトラブルであれば不動産に強い弁護士がいるうえ、土地建物については土地家屋調査士、所有権や登記に関する問題であれば司法書士、税金関係のトラブルであれば税理士など、それぞれ専門領域があります。こうした専門家の知見を使い、上手にトラブルを解決しましょう。

まとめ

不動産の売却はほとんどの人が人生でそう何度も経験するものではありません。だからこそスムーズに売却を進めたいうえ、トラブルに巻き込まれたくないという気持ちは強いですよね。今回は物件売却時に起きやすいトラブルと、その回避方法について詳しく解説しました。ポイントとなるのは、自分自身で身を守ることと仲介業者を上手に使ってトラブルを回避する両方が必要だということです。まずは自分が最低限の知識を身につけて守りを固め、信頼できる仲介業者に任せてより強固なガードを作る、そんなイメージでしょうか。面倒くさいなと感じてしまう人がきっと多いとは思いますが、大きなお金が絡む取引だけにトラブルになったときの代償も決して小さくはないはずです。多少の手間をかけてもスムーズに売却を成功させるために、本記事が少しでもあなたの役に立てば幸いです。

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